意思決定の精度を上げる
- 仕事内容ではA社が理想だが、勤務地が非常に遠い
- B社は従業員の雰囲気や印象が良いが、残業が非常に多い
など、複数の就職先を選ぶ状況にあった場合、色々と条件面などで悩む場合もあると思います。
結局は重視する項目の優先度や、面接での印象などから主観的に判断するしかないわけですが、主観は主観だが極力ヌケモレなく検証するための意思決定ツールの一つとして「マトリクス分析」があります。
マトリクス分析をやってみた
マトリクス分析はビジネスの意思決定などでも普及しているのでご存知の方も多いと思います。
当書では、左側の項目に先述の「仕事の幸福につながりやすい要素」と「仕事の幸福を破壊する要素」をリストアップしています。
以下は当書のやり方に沿って私自身が転職を考える2社をマトリクス分析してみたものです。
A社 | A社 | B社 | B社 | ||
重み | 素点 | 配点 | 素点 | 配点 | |
長時間労働 | 3 | 2 | 6 | 3 | 9 |
自由 | 3 | 3 | 9 | 4 | 12 |
焦点 | 3 | 1 | 3 | 3 | 9 |
仲間 | 3 | 3 | 9 | 4 | 12 |
WLB | 2 | 4 | 8 | 4 | 8 |
達成 | 2 | 2 | 4 | 3 | 6 |
明確 | 2 | 2 | 4 | 2 | 4 |
多様 | 2 | 4 | 8 | 2 | 4 |
貢献 | 2 | 2 | 4 | 4 | 8 |
雇用の安定 | 1 | 4 | 4 | 4 | 4 |
長時間通勤 | 1 | 2 | 2 | 3 | 3 |
合計 | 61 | 79 |
【算出方法】
・項目毎の重みづけ1~3点まで。そのうえで各項目を0~5点満点で採点。
・採点した素点に重みを乗じて配点を出す。
・現段階で分からなければ想像で採点。聞き出せる情報は極力聞き出すのがベター。
なかなか面白かったです。興味をお持ちの方は当書をご覧頂き、是非やってみて下さい!
当書では 意思決定精度を高めるツールとして、この他に「プロコン分析」「ヒエラルキー分析」等が紹介されています。これらも面白い分析手法です。
バイアスを排除する
次に、当書ではこうした意思決定を行ううえで、どんなに優秀な人間でも自分自身が持っているバイアス(脳のバグ)が介在してくる事を避けられない事について「ステップ4「歪みに気づく」(Keep human bias out)」で述べています。
バイアスにも「アンカリング効果」「サンクコスト」「感情バイアス」等色々と種類がありますが、当書ではこうしたバイアスを「イリイスト転職ノート」や「プレモータム」などのツールを用いて、出来る限り排除を試みます。
また「AWAKE」の最後となる「ステップ5:やりがいを再構築する(Engage in your work)」 では現在の職場での仕事の満足度を確認して、やりがいを向上させるための方法論について述べられています。
このあたりも興味深い内容ですが、詳しくは当書をご覧ください。
終わりに
「科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方」のアウトラインのみ、簡単にご紹介してきました。
こんな方には役立つツールが盛りだくさんですので、当書はオススメしたい一冊です。逆に個人的な印象ですが、「分析やツールなどをあまり好まない」「直感を信じる」という方にはあまり向かない本かもしれません。
なお当書は、先述のような考え方やツールの紹介に主に紙面を割いていますが、著者の考え方としては上記のような方法を用いて極力論理的に意思決定を行い大まかな方向性を決定する。そしてその後はある程度時の流れやタイミングに身を任せる事を良しとしています。
ある程度流れに身を任せているうちに状況が変わったり道が開けてくることもある。 思いがけない事でキャリアは変わり作られるもの。「キャリア・ドリフト」の考え方を支持しているわけですね。安易に転職を勧める趣旨の本ではありませんので念のため補足しておきます。
興味を持たれたら是非読んでみて下さい!
今回は以上です。