大手企業から中小企業への転職で感じる違いを5つピックアップ~後編~

本記事は表題の記事の後編です。

本記事では、大手企業から中小企業に転職を考えているチャレンジ精神がある方向けに、知っておいて欲しい大手企業と中小企業の違いを5つピックアップしてお伝えしています。

大手企業・中小企業の違い5選
  1. 裁量とスピード感の違い
  2. 人材育成面の違い
  3. 人事制度の違い:終身雇用と成果主義
  4. オーナー企業あるある
  5. コンプライアンス面の環境整備の違い

前半(以下、リンク)では1.裁量とスピード感の近い、2.人材育成面の違いに触れました。

本記事では後半部分の、3~5までを取り上げます。

それでは早速続けて行きます。

スポンサーリンク

人事評価制度の違い:終身雇用と成果主義

年功序列と成果主義の違いについては、ご承知の方も多いと思います。

年功序列制度はご承知のとおり、終身雇用を前提として、在籍年数に沿って昇進・昇格して給与も上がっていく制度です。

伝統ある大手日本企業の多くは、これまで終身雇用を前提とした年功序列制度を取って来ました。

ここでニュースを一つご紹介します。

倒産企業の平均寿命23.8年 3年ぶりに上昇【2021年】(東京商工リサーチ)

ニュースのタイトルにある2021年の倒産企業の平均寿命が23.8年というニュースを鑑みるに、

1人の社員が大学卒業後約40年働く事と比べて、それよりも短い期間で企業は倒産するということであり、このことからも終身雇用は既に幻想となりつつあることがうかがえます。

企業の平均寿命は業種業態によっても違いはありますが、短い要因として技術の陳腐化が早くなり、ビジネスのライフサイクルが短くなってきている事などが挙げられると思います。

年功序列は、企業が成長し続ける事で年々増加する人件費をカバーするシステムです。企業の成長が止まれば年功序列を維持し続ける事は困難です。その兆候は90年代に既に出始めていました。

今や伝統的な大手企業でさえ年功序列を維持し続けるのは困難となり、管理職の一部で成果主義を導入したり、役職定年制の導入、ジョブ型人事制度への移行など諸々変化してきています。

昨今、10年で9割の新興企業が倒産すると言われる中で、中小企業が終身雇用を前提とした年功序列制度を導入・運用するのはそもそも困難です。

そして、年功序列と対比されるのが成果主義です。

成果主義は在籍年数に比例して昇給するのではなく、成果によって昇給する仕組みであり、長く在籍していても成果が出せなければ給与は上がりません

この「定期昇給させる必要がない」成果主義型人事制度は中小企業にとって何かと都合が良い事も多く、あなたが転職を希望する企業でも導入しているかもしれません。

そして年功序列の大手企業から成果主義を導入している中小企業に転職した場合、下記のような事はごく日常的な事ですので、一例を示しておきます。

成果主義あるある
  • 自分以外の人が昇給して自分だけ昇給しない。
  • 後輩に職位・給与で抜かれてしまった。
  • 賞与が会社や部門業績と連動しており、思ったよりずっと低い支給額だった。
  • 退職金がゼロ。

最後少しだけ賃金制度にも触れておきます。

中小企業では残業代を固定残業代(≒みなし残業代)で支給している企業が多いです。

固定残業代は正しく運用されていれば合法ですが、企業の運用次第では残業時間に見合った分の残業手当がもらえないといった場合もあるので注意が必要です。

固定残業代については別記事で書いていますので、リンクを貼っておきます。

オーナー企業あるある

中小企業の中には、創業者とその家族が役員などの主要なポジションを占めている会社が多く存在します(もちろん大手にもあります)。

私も以前こうしたオーナー企業2社に在籍した経験があります。オーナー企業の特長は、その名の通り良くも悪くもオーナー次第というところです。

まずは魅力の方からご紹介します。もしあなたが中小企業のオーナーから気に入られれば、以下のようなチャンスにも恵まれる場合もあるでしょう。

  • 他のライバルに先んじて要職に抜擢される
  • やりがいのある仕事にチャレンジさせてもらえる
  • 人よりも早く成長できる

年功序列を重んじる大手企業では中々難しいような登用もオーナーの意向一つで出来てしまうのが中小企業で働く上での大きな魅力の一つです。

大手企業の安定した待遇、福利厚生を捨ててでも中小企業への転職を志す人は、こうした点に魅力を感じている方が多いと思います。

一方、その裏返しとして以下のような理不尽さやデメリットも可能性としてあり得ます。

  • カリスマ創業者が会社をある程度の規模にしてきたが、社内で意見を言える人が誰もいない。万一カリスマ経営者が判断を誤ると一気に業績が傾いてしまう。
  • 創業者一族が役員などの主要なポジションを占めている。中には名前だけでほとんど出社していないような家族が働いてもいないのに高額の役員報酬をもらっている。
  • 一族以外の社員は、同じ取締役・管理職でも役員報酬・給与は低く抑えられる一方、責任は人一倍で、万一失敗でもしようものならその責任を全て押し付けられる。オーナーの意向一つで簡単に降格、異動させられる。

社内にいるとそうした話が嫌でも見聞きする事になりますし、下手すれば自分が当事者になるかもしれません。そういった事があってもモチベーションを保てるか?

嫌な事ばかり書きました。決して全てのオーナー企業に当てはまるわけではありませんので、「ふーん、そういう事もあり得るんだ」というぐらいで頭の片隅に置いて頂ければと思います。

コンプライアンス面の環境整備の違い

最後はコンプライアンス面についてです。ここではパワハラ防止法を例に取り上げます。

2019年5月に成立した改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)が、中小企業でも2022年4月から施行されました。

パワハラ防止法とは、社内のパワーハラスメントを防止するために必要な雇用管理上の措置を企業に義務付けるというものです。

この雇用管理上必要な措置とは、以下のような措置です。パワハラ防止法の詳細については、厚生労働省のパンフレットをリンクしておきますのでご覧ください。

  • 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
  • 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
  • 職場におけるパワーハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応

なお、パワハラ防止法における中小企業の定義は以下の通りです。

業種①資本金の額又は出資の総額②常時使用する従業員の数
小売業5000万円以下50人以下
サービス業(サービス業、医療・福祉等)5000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の
業種(製造業、建設業、運輸業等上記以外全て)
3億円以下300人以下
引用元:厚生労働省 都道府県労働局雇用環境・均等部(室) https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000611025.pdf

パワハラ防止法は大手企業では2020年6から既に施行されており、各種対策も進んでいます。

一方、中小企業は導入が遅い分だけ大手企業と比較して、こういった面の環境整備は立ち遅れている可能性もある事を転職志望者は留意しておくべきでしょう

大手企業でもパワハラ体質の企業もあれば、中小企業でも意識的に対策を進めている企業もありますので、あくまで一般論としてご理解下さい。

本記事は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました!

タカセ
タカセ

本記事は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました!

本サイトは、転職活動がうまく行かず色々悩みを抱えている方向けに”ブログ記事での情報発信”及び””個別転職相談”を行っています。

以下は個別転職相談のご案内です。

私自身も転職では色々と失敗もしているので、こうした経験も踏まえ、少しでも読者様のお悩み解決の役に立ちたいと思っています。

転職相談はスキルマーケット「ココナラ」内のトークルームより承ります。トークルームはクローズドでセキュリティが確保された環境ですので、安心してご相談頂けます。

ご利用に際しては「ココナラ」の会員登録が必要になります。

詳しくは下記をご覧下さい。

人事経験者が貴方の転職活動を戦略的にサポートします ~20代~40代可。テキストなので対面が苦手な方も安心です~

ご利用者様の転職成功に向けて一緒に精一杯考えますので、是非ご利用をお待ちしております!

当方プロフィールはこちら

以下、関連記事へのリンク。