【人事】「人が好き」が志望動機の方に知っておいて欲しい事

人事職を希望する方の中には、その志望理由として「人が好きだから」といった話を面接で聞くことがあります。

確かに、「人が嫌い」「できるだけ人と関わりたくない」という方ですと、そもそも人事職は向いていないと思います。人事職は、従業員と頻繁にコミュニケーションを取りながら現場の生の声を拾い、施策に反映させていく事が求められるためです。

そういう意味で、積極的に人と関わり、コミュニケーションに長けている貴方は、人事職に就く上での最も大切で基本的な資質を兼ね備えていると言えるでしょう。

一方、人事職の面接に通過するため、そして入社後に人事職として活躍していくために、人事職の厳しい面にも一度目を向けておきましょう、というのが本記事の趣旨になります。

未経験で今後人事職を志望している方は、職種研究、面接対策の一環として是非ご一読下さい。

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人事職は「優しさ」と「厳しさ」の両方必要

人事職は「ヒト」「モノ」「カネ」という企業の経営資源のうち、主に「ヒト」の部分を多く担う重要なポジションです。

それゆえに採用や教育、人事評価制度などの各種人事施策を進めるにあたっては、経営陣、従業員それぞれの利害の衝突や板挟みになる事もしばしばです。

例えば、新しい人事制度の導入は必ずしも従業員にとって良い事ばかりとは限りません

一例として数年前、某企業で「社内公用語を英語として、社員全員にTOEIC800点取得を求める」というニュースがありました。ご存知の方も多いかもしれません。

私は詳細までは知りませんが、社員にTOEIC800点取得を求める以上、達成したら何らかの手当を新たに支給する、又は社内昇格要件にTOEIC800点が新たに追加される等、何らかの人事制度の改定が伴っていると推測します。社員が目標を達成できるよう、社内語学講座などの支援策も別途必要になるでしょう。

一方、そもそもこれは従業員にとって、歓迎される制度改定でしょうか?最初は多くの従業員にとって、「普段の仕事が忙しいのになぜ英語の勉強?」「どんなに普段の仕事が優秀でも英語ができなければ昇格できないのっておかしくないですか?」「勉強がダルいです」といったように、当初は不満も沢山出てきたと思います。

こうした不満も渦巻く中、トップの意向に沿って人事部は従業員に丁寧に説明を行い、粛々と遂行していくことが求められます。

ほかにも、経営状態によっては、改悪となる賃金制度改定を人事部は最前線で進めることにもなり、従業員からの多くの反発を招く事もあるでしょう。貴方自身が直接、批判の矢面に立たされる場面もあるかもしれません。

これらのケースにおいて、「経営層に言われた施策をこなしているだけ」「従業員がそう言ってました」という当事者意識のない姿勢では、経営層、従業員どちらからも信頼を得るのは難しいと思います。

このような局面では、極力双方のニーズに耳を傾け、これらを近づける努力をしつつ、どこかに落としどころを決めて果敢に実行していく事が求められます。

その際は、「相手の立場に立ってものを考える力」「柔軟な対応力」「論理的な説明力」なども必要ですし、何より「自分自身の判断軸を明確に持つ」事が大切です。今後、人事職で経験を積む中でこうした判断力やスキルを是非磨いていって欲しいと思います。

そしてまた、最悪リストラという事にでもなれば、従業員の今後の人生を左右しかねない非情な話をしなければならない事もあります。場合によっては修羅場であり、もはや「話せばわかる」というレベルの状況ではない事も想定されます。

以上、やや極端な例を出しましたが、人事職として将来管理職を目指すともなればこのような厳しい局面に出くわす覚悟も必要です。それだけ何をするにも影響のある部署、仕事とも言えます。

タイトルに戻ると、「人が好き」という優しい面は、もちろん大切な資質の一つではあるのですが、人事は優しさだけではストレスに感じる局面も多いと思います。

優しさと厳しさの両面を併せ持つような方、清濁併せ持つようなマインドを持つ方が人事職に向いていると個人的には考えています。もちろん、他の職種同様に相応のストレス耐性が求められる事は言うまでもありません。

結局どの職種でもそうですが、マイナス面ばかり考えてもキリがないので、あとは「腹をくくってやれるかどうか」ですね!

まとめ

自分が所属している「組織」や「ヒト」に愛着を持てるかどうか」が人事職にとって、最も大切な資質の一つである事は間違いありません。その点で「人が好きな」貴方は、憧れの人事職まであともう一歩です。

あとは、人事職が今回の記事で触れた様な厳しい側面もあることを、貴方自身がよく研究し、理解したうえで人事職を志望している事が面接官にきちんと伝われば、面接官も「単なるイメージだけで応募しているわけではないな」と、貴方を人事職に採用する事に対してより安心感を持てると思います。頑張ってください!

本記事は以上です。また、本ブログ内の人事職関連の記事リンクを以下に纏めております。それぞれ異なる切り口で書いていますので、ご興味があれば是非ご覧ください!