これから就職活動を迎えるにあたって、「面接が怖い」「面接に行きたくない」「緊張して何も話せなくなる」といった方はとても多いと思います。
最初は誰でもそうです。初めての転職で、新卒の時以来何年ぶりで面接を受ける社会人でも、最初の面接は非常に緊張するものです。
そこで今回の記事では、就職活動や転職活動を前にして、「面接が怖い方」「行きたくない方」「面接に苦手意識がある方」向けに、その苦手意識の原因の一つでもある「面接官」に着目し、幾つかの観点で解説します。
就職活動や転職活動で勝利するためにはまず「相手を知ること」も大切です。本記事を読むことで、以下のような気持ちで前向きに採用面接に臨んでもらいたいと思っています。
- 面接を必要以上に怖がる必要もないかもしれない!
- きちんと準備して、自分らしさを出せるように頑張ろう!
- 落ちても気にしない(単にその会社と合わなかっただけ)!
- 就職・転職活動を通じて、どんな出会いや学びがあるのか楽しみ!
それでは本題に入りたいと思います。
面接官だって判断を間違えます

まずは、面接官側の視点から少し見てみましょう。採用面接に登場する面接官は皆面接のプロで、人を見抜く目を持っており、絶対に判断を間違えないというのは正しいでしょうか?
大手新卒サイトを扱っているリクルートの人事部で長年採用を担当していた方が、以前私の上司だったことがあります。
その方曰く、「良いと思って採用した人がハズレだったことはよくある事だし、その逆もある」との事。新卒・中途問わず、かなりの面接をこなしているベテランでも判断を誤る事はあるという事です。
私は転職が多いため、これまでに色々な方が上司になったことがあります。転職が多い事自体は褒められたものではありませんが、こういう方の話を短い期間でも直接聞けたことは財産の一つだと思っています。
以前某有名戦略コンサルティングファームで長年人事部長を務めた経歴の持ち主も「正直1回の面接だけではよくわからない」という話をしていました。
こういうベテランでも間違えるのです。ましてや経験の少ない面接官や初めての面接官なら尚更です。
要するに、面接官も応募者の前では悠然と構えているかもしれませんが、内心自分の判断に100%の自信と確信を持っているわけではありませんし、仮に自信満々の面接官でもその判断は100発100中でもありません。
- 元気があって快活そうだ(=>仕事ができそうだ)
- すごい資格を持っている(=>他の面も優秀に見えて来た)
- 学歴が良い(=>きっと優秀に違いない)
こうした応募者の表面的な印象に惑わされて「この人は良さそうだ」といったハロー効果や、バイアスによって判断を誤るケースもしょっちゅうです。ぶっちゃけ単なる好き嫌いというのもありますしね。
1回の面接では分からないがゆえに、こうした’印象’で判断しがちになるとも言えますし、逆にこうした印象さえ植え付けられれば、案外簡単に面接を通過できるとも言えるかもしれません。
つまり言いたい事は、面接官を必要以上に怖いと思う必要もありませんし、仮に面接に何度か落ちたとしても「あなたの人格や能力を全て否定されている」といったようには決して受け取らないで欲しいという事です。面接官はそんな事まで絶対に分かっておりませんので。
統計的にも面接の有効性には疑問がある!?

先述のように、面接での判断は間違える場合もあり、入社後のパフォーマンスを測る指標として信ぴょう性が高くない事は、現段階で統計的にも結論が出ています。
以下、以前私が読んだ本からの引用です。
この問題について調べた研究のなかでもっとも精度が高いのは、心理学者のフランク・シュミットとジョン・ハンターによるメタ分析です。彼らは過去100年におよぶ職業選択のリサーチから質が高い数百件を選び、すべてのデータをまとめて「仕事のパフォーマンスは事前に見抜くことができるのか?」という疑問に大きな結論を出しました。この規模のリサーチは他になく、現時点では決定版といっていい内容です。
論文では「事前面接」や「IQテスト」といった適性検査をピックアップし、それぞれの相関係数を求めました。ざっくり言えば、「私たちが就職した後にその企業で活躍できるか?」の判断に役立つテストは存在するのかどうかを調べたわけです。
まずは全体的な結論を見てみましょう。それぞれの適性検査の信頼度を数字が高い順に並べると、次のようになります。
1位 ワークサンプルテスト(0.54)
引用元:「4021の研究データが導き出す 科学的な適職 」 鈴木祐著 クロスメディアパブリッシング
2位 IQテスト(0.51)
2位 構造的面接(0.51)
4位 ピアレーティング(0.49)
5位 職業知識テスト(0.48)
6位 インターンシップ(0.44)
7位 正直度テスト(0.41)
8位 普通の面接(0.38)
9位 前職の経歴(0.18)
10位 学歴(0.1)
相関係数は、概ね、「0~0.3未満:ほぼ無関係」、「0.3~0.5未満:非常に弱い相関」、「0.5~0.7未満:相関がある」、「0.7~0.9未満:強い相関」、「0.9以上:非常に強い相関」と言われています。
こうしてみると、本記事のテーマである”普通の面接”は8位に位置しており、相関係数は0.38で非常に弱い相関という事になります。
この論文は海外のデータであること、あくまで統計上の話である事は考慮しつつも、入社後のパフォーマンスは、価値観、コミュニケーション力やストレス耐性、更には一緒に仕事をする人間との相性など、様々な変数が複雑に絡んで決まりますので、これをたった1~2度の面接だけで正確に判断するのが難しいというのは、まぁわかりますよね。「9位:前職の経歴」や「10位:学歴」なども言わずもがなです。
また、2位に”構造的面接”というのがあります。これに対して8位の普通の面接は”非構造的面接”とも言われます。
なお、構造的面接は質問の作成や正しい運用が難しく、導入している企業は多くないと思いますが、Google社が実施しているのは有名です。構造的面接に関してはGoogleの関連ページへのリンクを貼っておきますので、興味のある方はこちらをご覧下さい。
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