転職エージェントは必ずしもあなたの味方とは限らない!?:知っておくべき3つの前提

これまで私自身数度の転職活動をしてきましたが、転職エージェント(人材紹介会社)はおよそ20社以上は利用しました。また、人事採用担当者としても更に多くの転職エージェントの方と関わりました。

転職エージェントを利用して転職活動すると、面接日程調整や事前面接対策、(年俸などの)条件交渉まで全て無料でやってもらえるので、転職サイトを使って独りで活動する場合と比べて便利な部分も多いです。

そして何より魅力は非公開求人ですよね。転職サイトに登録されていない非公開求人も数多く保有しており、転職サイトで公開されているよりも好条件な求人も沢山あります。

このようにメリットも多い転職エージェント。

しかし、利用する際に幾つかの前提を知っておかないと、貴方の正しい意思決定を阻害する可能性もあるのです。

今回は、転職エージェントをあなたのパートナーとして最大限活用するために、必ず意識しておくべき前提を3つに纏めております。

はじめて転職エージェントを利用する方、何度か利用した事があるがサービスに満足できなかった方は是非ご一読下さい。

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転職エージェントを利用する際の3つの前提

これだけ便利な転職エージェント、利用する上で知っておくべき前提を押さえておきましょう。以下の3つの前提は、どの転職エージェントを利用する場合でも基本的には同じです。

転職エージェントを利用する際の3つの前提
  1. 転職エージェントのお客様はあくまで求人企業です
  2. 転職エージェントの”自社推しのバイアス”を頭の片隅に
  3. 希望と異なる求人が紹介されるのはよくあること

前提1:転職エージェントのお客様はあくまで求人企業です

先述の通り転職エージェントの利用は無料です。では転職エージェントはどこから収益を得ているのでしょうか(=転職エージェントのお客様は誰でしょうか)?

人材を募集する企業側は採用に成功した場合、採用された方の理論年収の30%~35%程度(エージェントによって若干の差異あり。)の紹介手数料を転職エージェントに支払います。

※仮に年収400万の方の採用に成功した場合、紹介手数料30%とすると120万円の利益になります。

このように人材紹介業は、募集企業側から収益を得て成り立っているビジネスモデルであり、転職エージェントの第一お客様は求人を募集する企業です。

では我々利用者はどうでしょうか?あえて誤解を恐れずに極論するならば「人材=人財=”商品”」という事になるでしょうか(表現に失礼に感じたらお詫びします。)

したがって、転職エージェントが利用者に実施するキャリア面談の本質は、基本的にお客様である募集企業にどんな魅力的な人材を紹介できそうか?そのセレクションのための双方の意向確認の場です。

転職エージェント側は利用者と何度面談しても、成約できなければ1円の利益にもなりません

そう考えると「転職エージェントとの面談前に利用を断られる理由は?? 」何となく察しが付くと思います。

「転職エージェントのお客様は募集企業」この前提をまずは押さえておきましょう。

前提2:転職エージェントの”自社推しのバイアス”を頭の片隅に

2つ目の前提は、転職エージェントの自社推しのバイアスについてです。

例えば、ちょうど3社(A社、B社、C社)並行して応募してそれぞれ選考が進んでいたとします。応募経路は全て異なります。

  1. A社・・〇〇転職エージェントから応募
  2. B社・・✕✕転職エージェントから応募
  3. C社・・転職サイトから直接応募

ここで、A社を応募中の〇〇転職エージェントにある質問をします。

応募者
応募者

実は、他社経由で受けているB社も気になっておりまして。どっちが良いでしょうか?

〇〇転職エージェント
〇〇転職エージェント

もちろん応募者様の意向を尊重しますが、弊社経由で受けて頂いているA社も非常に良い所ですよ?

ここで転職エージェントの立場に立って考えてみましょう。〇〇転職エージェントのお客様は求人企業であるA社です。当たり前ですがA社に入社してもらうことがベストな成果です。

もちろん応募者の意向を最大限に尊重して意見を述べる前提だとは思いますが、何かしらバイアスが入る可能性も完全には否定できません。

仮に私が〇〇転職エージェントでも、応募者の話を聞いたうえで無理のない範囲でA社を推すと思います。「(他社様経由で進めている)B社が良いと思いますよ!」と言ったところで一円の利益にもなりません。

ここで言いたいことは、基本的に転職エージェントの転職相談は”自社”で紹介した求人に合格するための助言、アドバイスが中心になるという事です。それは貴方にとって本当にベストな選択よりも時に優先する事もあるという事です。

仮に「他の転職エージェントや転職サイト等で応募している企業とどちらが良いか迷っている」といったことを相談する際には、この”自社推しのバイアス”が入る可能性を理解した上で話を聞きましょう。

貴方にとって大切な将来の意思決定を行う局面で、ポジショントークをしてくる転職エージェントへの忖度は不要です。貴方自身が冷静かつ客観的に判断して下さい。

一方、転職エージェントのキャリアアドバイザーの中には、「GCDF」「キャリアコンサルティング技能士」「国家資格キャリアコンサルタント」など、自ら専門資格を取得して職務にあたっている経験豊富なプロフェッショナルも沢山おります。

先述の点を踏まえて転職エージェントとのキャリア相談に臨めば、貴方の転職活動における非常に有益なパートナーになってくれるでしょう。

前提3:希望と異なる求人が紹介されるのはよくあること

最後3つ目です。転職エージェントを利用したことがある人なら経験をした事があるかもしれませんが、「希望と全然マッチしていない求人ばかり紹介された」と感じた事はないでしょうか?

希望とマッチしていない求人を紹介される理由としては、以下のようなものが考えられます。

希望と異なる求人が紹介されるワケ
  • 転職エージェント側に貴方が希望する条件が正確に伝わっていない又は誤解がある。
  • 転職エージェント側に応募者の希望にピッタリの保有案件がないので、少しでも共通点があるものは幅広く紹介するようにしている。
  • 転職エージェント側で保有する求人の中にも人気がある案件とそうでない案件がある。お客様である応募企業の手前、不人気案件も紹介せざるを得ない場合もある。

このあたりは双方の意思疎通や受け止め方の問題でもあり、「色々な可能性を示してくれてありがとう」と考える人もいれば、「受ける気のない求人を紹介されても断るのが面倒」と捉える場合もあるでしょう。

転職エージェントからの紹介をあまり断りすぎると、「転職の意思なし」「選り好みが激しい」などと思われて紹介が滞る事を懸念する人もいると思います。これも非常に共感できます。

ですので、完全にぴったり貴方の希望に合致する企業ではない場合でも、

  • ほんのちょっとは興味がある
  • 話だけでも聞いてみるか

ぐらいの気持ちがあれば、自ら可能性を広げる意味で受けてみるのもアリだと思います(多くの転職エージェントも多分そう言うと思います)。正直最初はそれほど興味がなかったが、応募先の担当者の話を聞く中で、仕事内容に非常に魅力を感じたという場合もありますので。

しかし矛盾するようですが、どうしても志望度の低い求人を無理に受ける必要はないと考えます。

転職エージェントに忖度して「どう考えても入社する可能性のない求人」に無理に応募しても、双方にとって時間と労力の無駄ですし、何より応募企業に対して失礼です。

いずれにせよ、先述の理由から希望と異なる求人が紹介される事は大なり小なり不可避のため、「希望にドンピシャな求人なんてそうそうあるものではない」「あればラッキー」ぐらいに構えておいた方が余計なモヤモヤも少ないでしょう。

まとめ

転職はあくまで慎重に。

ただ転職すると決断したならば、非公開求人を多く持つ転職エージェントの利用は非常におススメです。今回の記事で取り上げた3つの前提を押さえて上手に利用しましょう!

転職エージェントを利用する際の3つの前提
  1. 転職エージェントのお客様はあくまで求人企業です
  2. 転職エージェントの”自社推しのバイアス”を頭の片隅に
  3. 希望と異なる求人が紹介されるのはよくあること

※本記事における「3つの前提」はあくまで自身の利用経験、人事部経験に基づく個人的見解です。

本記事は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。