こんにちは。転職の面接で非常に重要な質問となる「転職理由」と「志望動機」。そのストーリーはその人それぞれですので「これが正解」というのはありません。
ただ、面接官からつまらない突っ込みを入れられて、面接の流れを悪くする事は避けたいところです。そこで、面接の準備段階で考えた「転職理由」に対して、ご自身で以下の問いかけをしてみる事をおススメします。
「それって別に転職しなくともできるんじゃないの?」
このフィルターを通す事で、ご自身で準備した転職理由がより強固になります。
どういうことでしょうか?
それでは早速、「キャリアチェンジを理由として営業職から人事採用職への転職理由を述べる場合」を例にして見ていきたいと思います。
キャリアチェンジの転職事例

まずは事例から。
新卒で入社した会社で3年間営業職を経験。その後、人事部採用担当へのキャリアチェンジを希望して現在転職活動中。
そして応募先の面接で「転職理由」を問われた際、以下のように回答します。
新卒で入社してから3年間営業職をしてきました。3年目で売上・粗利で部内1位を獲得しました。
営業職では、まず顧客に信頼を得る事が数字を達成するうえで非常に大切であることを学びました。かねてから人事部の採用業務に興味があり、転職を考えていたところ、御社の求人が目にとまりました。
御社の製品が好きな事はもちろんですが、ユニークな人材を積極的に採用して成長を図っているビジョンや採用手法に非常に興味を持ちました。
人事採用は未経験ではありますが、営業を通じて得た顧客との信頼関係構築を応募者に置き換え、積極的に御社の魅力を伝えていく事を通じて御社の採用業務に貢献したいです。
この回答の良いところは、以下の点です。
- 「採用業務をやってみたいから」というキャリアチェンジの転職理由ですが、これまでの営業職を通じて得てきた経験にきちんと触れている。
- これまでの営業職で培った「信頼関係構築力」という採用職にも通ずる能力を武器にしていきたいという事で、前職のスキル・経験を今後の仕事でも活かせる事をきちんと述べている。
「なぜ採用職に興味を持ったのか?」「営業を続ける気はないのか?」など、追加で色々聞かれると思いますが、一旦まずまずの回答だと思います。
ここで、今回の記事のテーマである以下の問いかけをしてみます。

言いたい事はよくわかるんだけど、それって別に転職しなくともできるんじゃないの?
面接官によっては実際にこのように問いかけてくる場合もあります。これは決して意地悪で聞いてるわけでもなく単純に疑問に感じるためです。
面接官の中には「面接官自身が転職をしたことがない」方も多くいます。
もちろん業種や日系・外資などにもよりますが、経営に近い方や社歴が長い現場の責任者の方などは、むしろそういう方のほうが圧倒的に多いと言っても過言ではありません。
こうした価値観の方が上記の回答を聞いた時に、異なる職種をやりたいからといっていきなり「転職」を思い浮かべるという発想にはならず、「現職で上司に相談するなり異動希望を出すなり、まず自社内で何とかできないか色々動いてみる」という事が第1選択です。
ここできちんと納得できるような返答ができないと、「安易に転職しようとしている」と懸念を持たれる可能性も出てきます。
「転職もやむなし」と思ってもらえるか?

「採用業務をやりたかったが、自社内ではどうにもならず、やむをえず転職を考えた」
このように色々な価値観を持つ面接官に「それなら転職するのも仕方ないね」と、受け取ってもらえるような回答が求められます。例えば、下記のような感じです。
前職の人事は少人数体制のため、これまでも外部から即戦力の経験者を中途採用する傾向が強く、これまで何度か異動希望を出しましたが、今後も希望が通る可能性がないとは言えませんが、難しいと感じております。
長くなるので「聞かれたら答える」でOKですが、想定していない状態でいきなり問われると結構テンパると思います。一度崩されると立て直すのが大変です。
予め準備しておくことで焦らずに答えられますし、前述のようなタイプの面接官にも「それなら転職するのもまぁやむを得ないか」と思ってもらえると思います。
また本事例の場合「営業職が嫌になったから」というニュアンスが伝わらないように回答する事もポイントです。
「転職理由」「志望動機」は分けて考えよう

本項はおまけです。以前中途採用の面接官をしていた時に何度か出てきたパターンですが、先ほどの事例でいうと、

「転職理由を教えてください」

「御社の製品が好きな事はもちろんですが、ユニークな人材を積極的に採用して成長を図っている姿勢や、採用手法に非常に興味を持ったためです」

志望動機ではなく、転職理由を聞いてるんだけどな。。
ピンと来ない方もいるかもしれませんが、たまにあるケースです。転職理由のいわゆる「前職を辞めた理由」の部分に触れずに「応募先の志望動機」の部分だけを話してくる例。
面接官が聞き返した際にきちんと返答できれば特に問題ないのですが、場合によっては以下のように悪い方に勘繰られてしまう可能性もあります。

(聞かれたことに答えてないけど)コミュニケーション力は大丈夫かな?

何か言いたくない理由(=不満)でもあって、それをごまかそうとしてるのかな?
「転職理由」と「志望動機」はあくまで別の概念です。先に話すか、聞かれたら伝えるかは状況次第とも言えますが、聞かれたらきちんと返答できるよう、志望動機とは分けて準備しましょう!
まとめ

それでは最後まとめます。今回の事例で触れたキャリアチェンジの転職理由に限らず、
- 人間関係の不満
- 給与や休日など待遇面の不満
- 残業時間が長い
など、あらゆる転職理由を話す場合において、「それなら転職もやむを得ない」と面接官に納得してもらえないことには「まず面接通過は難しい」ぐらいの気持ちで転職理由を準備するべきだと思います。
もちろん転職理由だけで面接の合否が決まるわけではありませんが、重要な質問である事は事実です。
ご自身で考えた転職理由に、「それって別に転職しなくともできるんじゃないの?」と一度問いかけて見てくださいね!
別記事で「人間関係」や「残業時間」「家庭の事情」など、その他の退職理由を述べる場合の注意点についても記事を書いております。よろしければご覧ください。


