これから就職・転職活動を控えている方、又は既に活動中の方は履歴書やエントリーシート等の応募書類を作成していると思いますが、これらには必ず「保有資格欄」があります。
- 自分が持っている資格は転職(就職)に有利になるのか?
- 履歴書に何の資格を書くべきか?
とても気になるところですよね?持っている資格はとりあえず全部書くのは正解でしょうか?
今回は、履歴書欄で書くべき資格とそうでない資格、つまり応募職種によって、書くべき資格は取捨選択をした方が良いという主旨で、お伝えします。
保有資格でアピールするための条件とは?

まずはじめに、知名度や難易度もピンキリで、とても幅が広いこうした資格や検定試験が、「就職・転職でどの程度アピールになるのか?」についてです。これは概ね以下の条件によって決まります。
- 応募職種に関係する資格であること
- 「1」を前提として、就職・転職でのアピール度はおおよそ取得難易度に比例する
- 実務経験の有無又は大小
これを踏まえて、履歴書に書くべき資格とそうでない資格については次項以降できちんと書きますが、上記に該当しない場合、つまり「応募職種に関係ない資格」や「取得難易度が低く、誰でも取得できるような資格」は、就職・転職においてあまり評価につながらない場合が多いです。
「資格は実務経験がなければ評価されない」は本当か?

ところで、「実務経験がなければ、資格だけもっていても意味がないよ」という意見もよく耳にしますが、これはやはり事実です。
一方、誰にでも実務未経験の時期はあるわけで、「同じ未経験者ならば資格がないよりはあった方が応募の選択肢が広がる」という場合も当然あります。
また、私は以前人事部で面接も担当していたので分かるのですが、実務未経験者でも前項で述べた様な仕事に直結する資格でそれなりに難易度も高い資格を持っている方は、「ハロー効果」で「なんかできそう」に見えてしまうのも事実です。書類選考でも目にとまりやすいです。
もちろん普段から気をつけていますが、採用側がこうしたバイアスを完全に排除するのは難しいのではないでしょうか。
このように、実務未経験でも資格を持っている事が就職・転職で有利に働く状況もありますので、選考フェーズにおいては決して「(資格だけ持っていても)意味がない」という事はないと思います。ただ、入社後にはこれはより現実になります。
資格だけ持っている実務未経験者 << 実務経験者(資格なし)
これは厳然たる事実ですので、ここから先は貴方の心構え、取り組み方次第です。
以前私がいた会社で資格持ちの実務未経験で入社した方がいました。最初はやはり実務は全然できませんでしたが、影で実務を猛勉強していて、半年後にはいつの間にか周囲と遜色なくできる状態になっていたというのも目にしてきました。
「実務経験がなければ、資格だけもっていても意味がない」という周囲の雑音を封じ込められるかどうかは、貴方次第です。
なぜ履歴書に書く資格を取捨選択する必要があるのか?

資格を沢山持っている事は、それだけ努力された証拠ですし、羨ましい限りでもありますが、履歴書に書く場合は、応募職種に応じて書くべき資格を取捨選択されることをおススメします。
どの資格を書くかは応募者の自由です。一方採用する側としては、応募資格に関連のない資格が沢山並んでいる書類を見ると、「何をしたい人なのかな?」「資格を取ることが目的の資格コレクターなのかな?」といった印象を持つ場合があります。
資格を取る事を目的化すること自体、決して悪い事ではありませんが、就職・転職という点で見た場合、人事側の印象はあまり良くないと思います。
また、本来アピールするべき職務に関連のある資格が、沢山の資格の中に埋没してしまい、印象に残らない可能性もあります。
前置きが長くなりました。次項から具体的な「保有資格の取捨選択基準」に入ります。
書かなくとも良い資格とは?

「アピールにつながらない資格は整理する」という前提に立った場合に、以下4つの観点で保有資格の取捨選択を行ってみて下さい。
- 業務との関連性が全くない、又は薄い資格
- 他に上位の資格がある場合(例:簿記2級持ちの場合の簿記3級など)
- 取得難易度が低く、あまりアピールにつながらない資格
- 趣味・スポーツ系の資格(アピールできそうなものは趣味特技欄に書く)
以下、補足します。
補足1 業務との関連性がない、又は薄い資格
例えば法律事務所に応募する際に、「危険物取扱者乙種第4類」とかを書いてもあまりアピールにはつながらなそうですよね?この場合、「持っているけどあえて書かない」という趣旨です。逆に書く場合は「なぜ(関連性のない)乙4を取ったのですか?」と聞かれる可能性があるので、きちんと答えられるようにしておきましょう。この際、貴方の考え方や人柄が伝わるような返答ができれば、「面白い人材」と思ってもらえるかもしれませんので、”狙って書く”のはアリだと思います。
補足3 取得難易度が低く、あまりアピールにつながらない資格
例えば、「中学校の時に取得した英検4級」など、取得難易度が決して高いとは言えない資格はあまりアピールにつながりませんし、書く事でかえってマイナスに受け取られてしまう場合もあるかもしれません(英検は2級以上ならば書きましょう)。一方、取得難易度が低くとも、業務との関連が強い資格であれば書いておきましょう。この場合、「より上位の資格は目指さないのですか?」などと聞かれる可能性はあると思います。
補足4 趣味・スポーツ系の資格
例えば、「漢字検定」や「歴史検定」なども業務に関連する場合もあるかもしれませんが、多くの場合は趣味的な位置づけになると思います。こうした業務との関連が低い趣味系の資格の有無は、採否に直接関係する事はありません。「昔に取って内容はもう忘れた」等であれば、書かなくて良いと思います。逆に「へぇ、今も続けてるんですね?」といった感じで面接官に話を振られた際にアピールできそうならば、趣味・特技欄に書きましょう。人柄のアピールや「〇〇やってる人だ」といったように、貴方の事を覚えてもらいやすくなるかもしれません。スポーツ系も選手やインストラクター等、業務に直結する職種でなければ、基本的に同様ですが、「スポーツ系は何故か好まれやすい」という面が多少あるのは否定しません。趣味・特技欄への記載を検討しましょう。
補足は以上です。
「1」の業務との関連性が微妙な資格も結構あるのが難しい所ですよね。例えば「ビジネス実務法務検定」は、法律関係でなくとも契約関係を扱うならば、民法ぐらいは知っていた方が良いと思います。また「簿記検定」は、財務経理関係でなくとも、売掛金や買掛金などの用語や、財務諸表のごく基本的な仕組みなど、ビジネスパーソンの基本と言える部分でもありますので。
このように迷う場合は「多少なりとも関連あり」という事で書きましょう。ついでに簿記検定は、財務経理職ならば2級以上が評価対象ですが、それ以外ならば3級でも書いて良いと思います。
資格も検定もどちらもその分野の専門能力を認定するという点では同じですが、資格は検定と違って、資格取得に伴って「業務」や「名称」などの独占的に使用できるといった点があります(医師、教師のほか、弁護士、公認会計士などの士業、国家資格キャリアコンサルタント etc.)。
(次ページ「持っていれば書くべき資格とは?」へ続く)