私自身について

平成25年、35歳の時に社労士試験合格しました。
それまで企業の人事部門で新卒、中途採用、教育研修、人事評価制度など、人事関係の仕事は10年弱経験してきましたが、社労士試験の範囲となる社会保険業務はほぼ未経験でした。
比較的小さい組織の総務であれば、何でも幅広く経験できると思いますが、規模が大きめの人事部だと担当分けしている場合も多く、私の場合「給与計算」「社会保険」などの人事労務業務は「ほぼ何も知らない状態」で試験を受験しました。それこそ「健康保険証ってどうやって取得するの??」レベルです。
社労士試験は私自身も興味はありましたが、当時の人事部の上司にも勧められたのがきっかけです。それなりに仕事も忙しく、受験を決意するまでには随分時間がかかりました。
受験を決めてから1度目は不合格、2度目の受験で合格しました。その後紆余曲折を経て、全く未経験で社労士事務所に転職して給与計算・社会保険実務を3年間経験しました。
また人事採用部門での経験があったため、業務に一通り慣れた後からは、社労士事務所内の採用面接も担当しました。採用する側、される側をたまたま両方経験したこともあり、本記事を書こうと思った次第です。
本記事は、実務未経験者で社労士試験を合格している、又はこれから学習を始めようという方向けに、実務経験を積むために就職先として社労士事務所を考えた場合に、どのような姿勢で臨むべきか?また、知っておくべき点などを纏めています。
(「社労士試験の学習方法」については本題の趣旨と異なるため、別記事で掲載しています。よろしければご覧下さい。)
社労士未経験で就職できるか?

社労士試験は合格するまでに一般的に1,000時間程の学習時間が必要と言われています。
「それだけの時間と労力をかけて社労士試験をパスしても、実務未経験で社労士事務所や人事労務部門に就職できるのか?」
という疑問を持つ方は多いと思います。かくいう自分もそうでした。
これについて、あくまで1経験者としての個人的見解ですが、社労士事務所の求人が実務経験者優先なのはやはり事実ですが、条件とタイミング次第では十分チャンスはあると考えています。
以下、そう考える理由について書いて行きたいと思います。
社労士事務所の求人背景

社労士事務所は沢山ありますが、一般的に人の出入りが割に多く常に人材不足であることが多いです。
「リクナビNEXT」や「マイナビ転職」などの転職サイトや、ハローワークを見てみると、常時沢山の求人が出ているのが分かると思います。
一方、常に人材不足であるがゆえに「人は欲しい」が「教える手間を極力省きたい(すぐ辞めるか分からないし・・)」となりがちです。
社労士事務所は10人以内の少人数でやっている所が非常に多く、ギリギリの人数で業務を回しているケースが大半です。
前述の大手転職サイトの他、「ヒビコレジョブ」などの社労士専門転職サイトも存在しますが、応募資格を見てみると大半が「経験者のみ」「経験者優遇」となっています。
比較的規模の大きい事務所などでは「トレーニー枠」なるものを設けて、未経験者の募集を行っている所もありますが、実際に社労士事務所で働いてみると、「未経験者に貴重な人員を割いてじっくり時間をかけて育成する余裕は全くない状態」なのがわかります。
「実務未経験者」の評価は?

次に、社労士事務所側では社労士有資格者の実務未経験者をどう見ているのでしょうか?
これについて、一言で言えば「独り立ちまである程度時間のかかる未経験者」です。
資格と実務は別物です。社労士に限ったことではありませんが、資格があるからといってすぐに実務ができるわけではなく、逆に実務ができるからといって社労士試験に合格できるわけではありません。
例えば、社労士試験の雇用保険法の問題は解けても、「じゃあ退職者の離職票を完璧に作っておいて」と言われても実務未経験者はすぐに対応できないと思います。
社労士資格があることで「未経験者でもチャレンジできる権利を得た」ぐらいに考えておけば良いと思います。
例えば、未経験者であれば一通り仕事を覚えるのに仮に1年かかるとして、経験者ならば(経験内容と年数にもよりますが)、事務所独自のやり方や顧客のカラーに慣れるだけで3か月もあれば普通に独り立ちして、何社か担当顧客を抱えて活躍し始めているぐらいの感覚です。基本的にはどの事務所でもやることは一緒ですので。
ちなみに、「企業の人事労務部門で給与計算・社会保険業務をやっていました」という経験者の中でも色々な方がいて、「実際は外部の社労士に業務委託しており、社保書類の取次や給与計算結果のチェックしかやっていない」という場合も結構あります。
この場合は内容にもよりますが、全く何も知らない未経験者よりは良いものの、実務経験者と同等には見なされない場合が多いと思います。
⇒次ページ「実務未経験で事務所に就職するには?」へ続く。