会社を退職する際に、人事担当者から受ける諸々の事務的な説明事項。
その中で医療保険(保険証)については、次の転職先が決まっている場合、転職先の健康保険に加入しますが、
それ以外の場合、つまり一旦離職した上で転職活動を行う場合、以下の3通りの案内をなされる事になるかと思います。
- 現在加入している健康保険 (協会けんぽ、組合健保) を任意継続する。
(以下、「任継」) - 区市町村の国民健康保険に加入する
(以下、「国保」)
- 家族等の被扶養者になる
親や働いている配偶者など、誰かの扶養に一時的に入れる条件を満たしていれば、
社会保険料がかからないので一番経済的な負担は少ないですが、
そうでない場合は前述の「任継」か「国保」かを選択する事になります。
一時的とはいえ収入がない状態であれば、社会保険料などは一円でも安い方を選択して出費を抑えたいところ。
この時にどちらを選択するでしょうか?
「任継」といっても各健康保険組合と協会けんぽでは保険料率は異なります。
また、区市町村国保も同様に区市町村それぞれで運営しており、保険料も収入や家族構成などにより異なってきます。
一般的には退職後の社会保険の手続きはあくまで退職後の事であり、前職の人事や社労士が手伝ってくれることは基本的にはありません。
これらの手続きは全て退職者ご自身で行う事になります。
その際には、離職後の保険料をきちんと相互比較したうえで、今後加入する医療保険を選択して頂く事をお勧めします。
そこで本記事では、離職理由によって国民健康保険税(料)が軽減される制度について簡単に触れてみたいと思います。

非自発的失業者の国民健康保険税(料)の軽減措置について
会社勤めの方が健康保険を抜けて、国保に入る場合、「保険料が高い」というイメージがあるかと思います。
(逆の見方もあるかもしれませんが、検索エンジンに「国保料」と入れると、「高い」という検索候補も出てきます)
こうしたイメージから、わざわざ比較するまでもなく健康保険の任意継続を選択するパターンもあるかもしれませんが、
離職理由によっては国保料の軽減制度により、大幅に保険料を抑えられる場合があります。
これは、退職時の雇用保険受給資格者証における離職理由コードが
「特定受給資格者」又は「特定理由離職者」に該当する場合です。
自己都合による退職は対象外ですが、
会社都合による離職や、やむを得ない理由による離職の場合などがこれにあたります。
(「特定受給資格者」「特定理由離職者」については、
ハローワークのウェブサイトで詳述されていますので、そちらをご確認下さい。)
上記理由に該当する方が、自ら申告することによって、離職した本人の前年の給与所得を30/100として国民健康保険税(料)が計算されるというものです。
(元の給与所得が3割になるので、同じ保険料率を乗じたら保険料は減りますよね)
現在はハローワークの初回説明会やパンフレットなどでも、この国保料の軽減措置については案内・周知している場合もあるようですが、
こちらは自分で申告しなければ適用されない制度です。
軽減措置が適用された場合、 健康保険を任意継続する場合と比較しても保険料が安くなる場合も可能性としてはありますので、
思い当たる方は一度区市町村国保課へご相談してみることをお勧めします。
その後の手続きとしては、会社を退職後にハローワークへ離職票を持参した際に「雇用保険受給資格者証」が交付されます。
この書類に「離職理由コード」が印字されていますので、そちらと印鑑を持参のうえ、お住いの区市町村国保窓口で手続きを行う流れになります。
本記事では、「離職理由による国保料の軽減制度がある」という事を伝える事が主眼のため、
その他詳細の適用条件等については割愛している部分がある他、
本記事出稿日以降、制度改正などにより内容に変更が生じる可能性もございます。
制度・手続きの詳細については、必ず運営先である各区市町村のホームページ並びにハローワークのウェブサイト等で最新情報をご確認下さい。
本記事は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。