遠隔地面接のメリット
近年の新卒や転職などの採用面接では「Skype面接」や「AI面接」などがかなり普及してきています。
今回のコロナの影響をきっかけに導入する企業もきっと多いでしょうね。
こうしたITテクノロジーを活用した面接は「コスト削減」という点で応募者側、求人企業側双方にメリットがあります。
応募者側のメリットとしては、パソコンとヘッドセット、スマートフォンがあれば地方にいても高い交通費をかけずに都内の企業の面接を受ける事ができます。これは求職活動中の何かとお金がかかる時期には大きいと思います。
企業側もAI面接ならば人の代わりにAIが面接して結果まで算出してくれるので面接に割く分の人件費削減が期待できます。オンラインで会社説明会をやればあちこちに出向く手間も費用も省けます。
双方にとってメリットが多いですね。
遠隔地面接による機会損失?

ここで一つ疑問があります。私はオンライン英会話を長くやっていたのでスカイプは慣れっこなんですが、それでもやはり直接対面して話すのと比べれば違和感が残ります。
全く慣れてない人だと最初は「どこを見てしゃべったらよいのか分からない」状態になってしまうでしょう。
それはおいておき、応募者側が就職や転職を決めるとき実際に面接官と会ってそこで感じる雰囲気やオフィスの印象、働いている人の表情などで第六感のようなものが働くことはありませんか?
「何となく合いそうだ(逆に合わなそうだ)」とか。
この第六感で感じた事が最後まで強く影響して内定承諾又は辞退を決定づけたりもします。こういう感覚が遠隔面接だと掴みづらくなるように思っています。
「最終面接で実際に会えばいいじゃないか」と言えばその通りですが、2~3度面接を受ける中で毎回違う人に会ったりする中で印象が変わったりすることもあります。
単に私ができるだけ話して情報を集めたいタイプだけなのかもしれませんが、お金が節約できる分応募者側の判断機会、材料が減ってしまうように感じています。
AI面接の課題と今後の普及に向けて

「AI面接」への期待
私は以前企業の人事部で新卒・中途採用の面接官をしていましたが、人間による判定はどうしても好き嫌いなど主観が入ってしまう面があります。
限られた時間で人を深く見抜くのは難しく、良いと思って採用してもすぐに辞めてしまったりというのはよくある事ですしその逆もまた然りです。
面接官は面接のプロというわけではなく、これまで面接をやったことがない現場の社員や管理職である場合もよくあります。
社内マニュアルなどで事前に研修などは受けているかもしれませんが、「面接官の人を見抜く目は確か」なんてことは多分ないです(笑)(数をこなした分だけ勘のようなものはあるかもしれませんが)
それに対して「AI面接」はこうした人による判定の曖昧さを排し、データをもとに客観的にジャッジできるところへの期待が大きいです。
※ちなみにAI面接は送られて来たメールなどから専用ページへリンク。スマートフォンに向かって表示された質問に対して回答する。録音されたデータを元にAIと人が判定したレポートを企業側に返すというものです。AIが聞き取れなかった場合、何度も同じ質問が繰り返されます。
「AI面接」の課題
次に課題ですが、AIの判定精度を高めるためには運用する人事部側で「自社の求める人材像」を今まで以上に明確化したうえでプログラムを構築する必要があります。
自社の求める人材像が高いレベルで作り込まれている企業が実際どのぐらいあるでしょうか?「コミュニケーション力が高い人」といった曖昧な基準では正確な判定は期待できません。
倫理的な課題もあります。いち早くAIを用いた履歴書判定を導入していた米アマゾン社では、AIが「女性を不利に扱う」判定をしていた事が判明して以前ニュースになった事がありました(詳細はニュース記事をご参照ください)。
以前のニュース記事へリンク
今後更にAIによる採用選考を普及させていくためにはこうした倫理的な課題のクリア、判定の透明性と説明責任なども求められるでしょう。
こうしたことからAIによる選考が大企業はともかく中小企業まで広く普及するのはもう少し時間がかかるように思います。
現状もすでにそうだと思いますが、運用方法も最初は一次面接だけで幾つかの項目に限定してAIがジャッジ、最終面接ではその結果に基づいて人間が面接するというような併存型が続いていくと思います。
ちなみに私は最新のAI面接の構築プロジェクトに当事者として関わった経験は残念ながらありません。知人から聞きかじった程度のレベルなので、本記事はあくまで自身の経験も交えての一個人の感想です。
今後チャンスがあれば是非関わってみたいと思っています。
以上