ネット上で「おすすめの転職エージェント」と検索すると多くのまとめ記事が目につきますが、多くの選択肢の中から、どの転職エージェントが自分にとって一番良いかを見極めるのは難しいと思いませんか?
私自身転職者として、また人事部での採用担当者としても数十社の転職エージェントと関わりました。結論から言えば、良い転職エージェントにおける「良い」という定義は、人それぞれの立場や価値観によって異なります。
重要なのは、「自分が望む企業を紹介してくれて、スムーズに内定が得られる転職エージェント」を選ぶことです。
ですから、転職者の視点から見れば、転職エージェントの企業名はそれほど重要ではないかもしれません。大切なのは、あなたが目指す「その1社」を紹介してくれるかどうかです。
大手のエージェントには多くの未公開求人がありますが、それが必ずしもあなたの希望と合致するとは限りません。一方で、中小の転職エージェントを利用しての「1発1中」の可能性もあります。
そこで本記事では、私自身の実体験も踏まえて、中小の転職エージェントの特徴と利用時の留意点などをご紹介します。
ちなみに転職エージェントを上手に利用するうえで基本的に心得ておくべき前提について別記事で纏めています。転職エージェントを利用するのが初めてという方は、まずは下記の記事をご覧ください。
自分にマッチする担当者に出会えるか?
私見になりますが、仮に私自身が良い転職エージェントの条件としてあげるならば「良い担当者に出会えるか?」です。
「どこの転職エージェントが」というより「どの人か」です。ひとえに転職エージェントと言っても担当者によって仕事への熱意や質もだいぶ違います。
以前ある転職エージェント経由で転職活動をしていた際、何度か落ちた末ようやく1社内定を得ました。
当時私の担当だった方は「ここで終わりにするのはもちろん尊重しますが、あなたならもっと良い条件で転職できると思うのでもうちょっと頑張りませんか?ちょうどご希望に合う企業を1社ご紹介できますよ」と言って頂きました。
実は恥ずかしい話が、その後も何度か落ちてようやく内定するまで根気よく付き合って頂きました。
転職エージェントとしては、最初に内定が出た段階で、私に関する仕事はさっさと売上計上して終わりにできたはずですが、「私の希望には合わない」「だいぶ妥協しての内定」だったのは承知しており、私の今後のキャリアを考えて提案して下さったものと理解しています。
もちろん、転職エージェント側も「この人が今後より良い条件(=手数料)で転職できる算段が立ちそうか?」は当然算盤を弾いていたと思いますが、「どこかにねじ込んで終了」ではなく、一歩踏み込んで提案して頂けたのは人として普通に嬉しかったのを覚えています。
転職エージェントも人間です。良い関係性を築ければプラスアルファで頑張ってくれる事もあるでしょう。
実際のところ、良くも悪くも色々な転職エージェントがいますが、自分にとって信頼できる転職エージェントに出会えるかどうかは転職活動の成否をわけるぐらい重要な要素かもしれません。
それは大手転職エージェントの担当者かもしれませんし、中小転職エージェントの担当者かもしれません。
中小転職エージェントの特徴について
次に本題の中小転職エージェントの特徴についてです。私自身の体験から中小転職エージェントの特徴を挙げると以下の3点です。留意点も併せてお伝えします。
営業担当と面談担当が同一人物である事によるメリット
「enミドルの転職」などには中小も含めた転職エージェントの保有求人が数多く載っています。
これまであまり名前を聞いたことがない転職エージェントの営業担当者からスカウトメールが来た方もいるのではないでしょうか?
転職者が中小の転職エージェントと接点を持つのは、こうしたポータルサイトにレジュメ登録してスカウトを受けるのがきっかけである場合が多いです(もちろん、直接企業HPから利用登録する場合もあると思いますが)。
基本的には大手でも中小でも転職エージェントの利用方法や流れは基本的に一緒ですが、中小エージェントは基本的に営業担当者と面談担当者が同一人物である場合が多いです。
営業担当者とは求人企業側の窓口であり、面談担当者は文字通り求職者の転職相談を担当します。大手の転職エージェントではこれらが別々の場合も多いです(良し悪しはそれぞれありますが一旦置いておきます)。
求人企業側のニーズを人事から直接聞いている営業担当者は「企業がどんな人材を求めているのか?」を一番熟知しています。
その営業担当者が求職者の面談も担当することでよりマッチングレベルも高まりますし、直接企業にプッシュしてもらう事もできます。
また面接後のフィードバックなども営業担当者から直接もらえるので、連絡が迅速である場合も多いです。
珍しい求人に出会える可能性も!?
中小の転職エージェントは代表の人脈等から求人発掘してくる場合もあり、「あまり他で見かけない求人」などが混ざっている場合もあります。
以前ある中小の転職エージェントを利用した際、エージェント自身のコネクションという事で、大手では全く紹介されなかった求人(=でも結構条件は良い)を幾つか紹介してもらった事があります。
また、銀行系など異業種の企業が子会社として人材紹介業をやっているというケースもあり、そういう場合はそちらの業界に知見がある方が出向して転職エージェントをしていたりするので、より詳しい話を聞けるかもしれません。
もちろん、紹介が大手と丸かぶりの場合もありますし、むしろそうしたケースは多いため、過度に期待しすぎない方が良いでしょう。
一発勝負である分、きめ細やかな対応が可能
中小転職エージェントは大手と比べると保有求人数が少ない事がほとんどです。
応募した求人の結果が万一ダメだった場合、他にマッチする求人がなければ基本的にはそれで終了です。まさに一発勝負という感じです。
一発勝負というだけに、小さい転職エージェントは文字通り一撃必殺を狙ってきめ細やかな対応をしてくれる場合も多いです。
例えば以前私が利用した時には、応募レジュメを応募企業向けに書き直す事を提案して頂いたり、応募企業の面接を担当する人事部長をよく知っているという事で人柄や嫌いそうな受け答えなどをこっそり教えてもらったり。あと面接に同席してもらったこともありますね。
大手の転職エージェントではここまできめ細やかにというのは難しい場合が多いと思います。
以上が、私自身の実体験から言える中小転職エージェントの特徴3つです。
先述のように中小転職エージェントは、全てがエージェント個人の営業力次第なところもありますので、もちろん当たり外れはあると思いますが、タイミング良くベストな求人に出会える可能性もあるので有効な選択肢の一つだと思います。
中小転職エージェントで気になる求人があったら一発勝負と思って利用しましょう。
賢い転職エージェントの選び方
最後に、こうした中小の転職エージェントも含めて「いくつの転職エージェントを利用すべきか?」について私の考えを述べておきます。
冒頭で転職エージェントの良し悪しに「企業名」や「保有求人数」は関係ないと書きました。
しかし、自分にとってベストの求人に出会える可能性を確率論で考えれば、やはりより多くの紹介求人の中から見つかる可能性は高いと思います。
したがって、いわゆる大手と言われる転職エージェントは最低一つは登録しておくことをお勧めします。
では「数撃てば当たる」で、登録できるものは大小含めて全て登録した方が良いのか?
複数の大手転職エージェントを登録しても紹介求人が似たようなものも多く、紹介が重複する場合も体験上結構あるため、個人的には得策ではないと考えます。
重複を避ける意味では、まずは1~2社気に入った大手転職エージェントを登録する。そして、希望に応じて「外資系特化」や「管理部門特化」など専門特化型の転職エージェントに登録するなども良いと思います。
更に「enミドルの転職」などにスカウト登録し、紹介された内容に興味を持てたら是々非々で中小転職エージェントも活用していく事で、あなたが目指す「その1社」に確実に出会い、理想のキャリアを築きましょう。
転職はあくまで慎重に。ただ転職すると決めたなら行動あるのみです。今回の記事で特徴を押さえて中小転職エージェントを上手に活用しましょう!