こんにちは。転職活動を進めるうえで気になる事の一つとして「ブラック企業をどうやって見分ければ良いのか」というのがあります。
転職サイトやハローワークはもちろん、転職エージェントからの紹介求人の中にもいわゆる「ブラック企業」が混ざっています。
本記事では、最初に転職サイトで企業が求人募集する際の背景を説明しつつ、その後でいわゆるブラック企業を見分ける際の考え方やポイントを幾つかご紹介します。
そもそもブラック企業とは?

そもそも「ブラック企業の定義」とは何でしょうか?
毎晩深夜までの残業をしている方でも、自社をブラック企業であると考える人もいればそうでない人もいます。そこで他人よりも努力した事が自分の知識や経験になって将来に活きると考えている方もいるからです。
このように人によって働く価値観が違うため、「これぞブラック企業」と定義するのは難しいのですが、厚生労働省の関連ページから以下引用しておきます。
厚生労働省においては、ブラック企業について定義していませんが、一般的な特徴として、① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、などと言われています。
引用元:労働条件に関する総合情報サイト 「確かめよう労働条件」 厚生労働省 https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/roudousya/zenpan/q4.html
※本記事では便宜上、上記を「ブラック企業」として記事を書き進めます。
企業が頻繁に求人を出す背景
ブラック企業を見分けるにあたって、まず「常に求人が出ている」「年中募集している」というのは一つの重要なポイントです。
企業が転職サイトへの求人を出す際の広告出稿料は、広告会社や広告プランにもよりますが、通常15~30万円/(1か月)程費用がかかります。
求人企業の負担も連続出稿を続ければ決して小さくはありません(ハローワークは無料ですが)。
それでも頻繁に求人を出しつづける理由はなぜか?当然「人が欲しいから」ですが、それぞれ募集背景は異なります。それを以下の4つに分類してみました。
1.人の出入りが激しく採用してもすぐに辞めていくため。
2.本当に業績が好調で人手が幾らあっても足りないため。
3.該当する経験を持つ方が非常に少ないニッチ職種(特殊な製品、技術分野のエンジニアなど)のため。
4.超ハイスペック人材のために常に門戸を開いている(新卒でしか入れなそうな超有名企業の求人など)。
以上のような募集背景が考えられます。
このうち「3」「4」については企業側が求める人材像が明確であり、「該当者以外は採用しない」という基本的に待ちの姿勢であること、
応募者側も「自分は該当しないな」と比較的容易に判断できるため、採用のミスマッチは比較的起こりづらいです。そしてこれらはいわゆる「ホワイト企業」である事が多いです。
「3」は名前こそ知られていないものの、著名な製造業の子会社や特殊分野でシェアトップのパーツメーカーなどが該当する場合も多いです。
(私も以前、転職サイトで「3」を必死に探して応募していた時期もありました。)
「4」は誰もが知っている著名な製造業などの通年採用枠などがこれにあたります。
問題は「1」「2」です。これらの求人は企業側は喉から手が出るほど人が欲しい状況で、比較的応募しやすい条件である場合も多かったりします。
あくまで一般論ですが、業界では飲食業や小売業、介護などが多いでしょうか。「結局は業界なのか」と言ってしまうと身も蓋もないですが、労働集約的な仕事を多く抱える業界、仕事は価格競争に巻き込まれやすくブラック化しやすいと言われています。
そしてこれらの中でも「1」はブラック企業である可能性が高いですが、「1」と「2」はかなり見分けづらいです。
転職希望者個々の事情、応募のしやすさもあってつい飛びつきたくもなりますが、事情をよく知らずに入社すると「こんなはずじゃなかった」といったミスマッチを引き起こしやすいと言えます。
※繰り返しますが、本人が納得して入社しているのであれば、世間的にホワイトでもブラックでも何ら問題ありません。
ブラック企業は自分たちに都合が悪い事は書かない

先述の「1.人の出入りが激しく採用してもすぐに辞めていく」と「2.本当に業績が好調で人手が幾らあっても足りない」求人はなぜ見分けづらいのか?
「1」の求人の募集背景欄を見てみると、
「人がしょっちゅう辞めてるので、穴埋めのための採用です」
とは書いておりません。
「業績好調につき、業務拡大のための純粋な増員です」
などと書いてあります。
つまり「1」と「2」(本当に好調)の募集背景はほとんど同じように書かれています。
私も以前人事部の中途採用担当として求人広告の掲載には何度も携わりましたが、基本的に企業にとって都合の悪い事は求人広告に書きません。
もちろん嘘は書けませんが、必須事項でなければあえて触れなかったり、書く場合でも超ポジティブ表現に言い換えたりします。
むしろそういう求人に限って、大きな紙面や写真も沢山使って転職サイトの検索上位に出て来たりと、目立つ求人だったりすることもあります。
つまり、求人情報だけでブラック企業か否かを見分ける事は難しいという事です。そこで、求人情報以外にも色々な方法で総合的に判断していく事になります。
「ブラック企業」かも?という意識を常に持とう

求人広告に書いてある事を鵜呑みにするのではなく、「1.人の出入りが激しく採用してもすぐに辞めていく」企業の可能性も頭の片隅に置きつつ、まずは「一応、疑ってみる」という意識を持ちましょう。
例えば、
「業績が良くないなら増員する余裕はないはず」→「増員するという事は業績が良いから」
と通常考えるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。
「業績悪化でどんどん人が辞めて業務が回らなくなっている」
「一か八かでテコ入れを図ろうとしている」
など事情は色々あると思いますが、業績が悪い会社も何故かどんどん増員します。
実際こういった企業の人事部では(どうせ辞めるので)教育研修部署などはあまり機能しておらず、採用ばかりに偏って予算が投入される傾向があります。
そして「採用できれば基本的に誰でもOK」のブラック企業では採用基準も当然甘くなりがちです。
極端な話、ホワイト企業が「よほど良いと思わなければ採用しない」のに対して、「よほど悪くなければ基本的に採用する」ぐらいの違いがあると思った方が良いです。
今までどんなに頑張っても全然面接を通過できなかったのに、突然すごく評価されたら誰でも舞い上がりますよね?嬉しさからブラック企業がホワイト企業に見えてしまう事もあるかもしれません。
ブラック企業の人事担当者は、給与や福利厚生などでホワイト企業には到底勝てないので、入社してもらうために「君はウチに合っている」とか「やりがいのある仕事」といった「抽象的な表現」や「精神論」をうまく使って入社に持っていこうとする傾向があります。
このような相手側の事情も頭の片隅に置きつつ、求人票を「批判的に見る」意識を常に持ちましょう。
ブラック企業の見分け方~業績好調のウラを取ろう~

求人情報に「業績好調につき、業務拡大のための純粋な増員です」と書いてあったらそれを鵜呑みにせず、企業のウェブサイトや公開してある財務諸表、その他検索エンジンに企業名を入れてみるなどしてみましょう。
- 売上高は書いてあるのに経常利益欄が空欄になっている。
- 検索エンジンに企業名+”ブラック”など気になるワードで検索したら何やら色々出てきた。
経常利益だけが空欄の場合、実際は赤字続きの可能性もあります。
また、検索エンジンからも求人票に書いてある内容からは知り得なかった事実が分かったりする場合もあります(例えば過去に何か不祥事があったとか、倒産・M&A事案など)。
「3年後離職率」を見てみよう
次に、掲載企業は限られますが、東洋経済新報社の「就職四季報」では各企業の「3年後離職率」という指標が掲載されています。
3年後離職率(%) = (3年前入社者-直近4月在籍者)/3年前入社者×100
引用元:東洋経済オンライン 就職四季報編集部 https://toyokeizai.net/articles/-/153272?page=2
この3年後離職率がどの程度なら良い、悪いというのはありませんが、大卒全体の3割(=30%)が3年以内に辞めているというのが一つの基準になるでしょうか。
なお実際に就職四季報を見てみると「N/A(ノーアンサー)」となっている企業も多いです。
この「あえて開示しない」事をどう捉えるか?この辺を詳しく解説している東洋経済の該当ページへリンクを貼っておきます。
とにかく転職サイトに書いてあることだけを鵜呑みにせず「あえて性悪説の視点で見てみる」意識が大切です。
転職クチコミサイトを見てみよう
求人広告だけでなく「転職会議」「OpenWork」など、クチコミ情報が掲載されているウェブサイトも参考になります。
※転職クチコミサイトの情報は投稿者の主観が入っている場合もあり、完全に鵜呑みにするのは危険な場合もあります。
まず転職クチコミサイトの「退職理由」を参照すると、
- 残業が多い
- 給与が少ない
- 休みが少ない
などのよくある退職理由も当然の事ながら出てくる他、
- 実は経営状況が芳しくない
- 特定の部門・職種で特に退職が多い
- パワハラの風潮がある
- リストラが行われており、社内の雰囲気が良くない
など、もう少し具体的な背景や判断材料も出てくる場合もあると思います。
- 実際に退職者が多いのか?
- どういう理由で退職したのか?
- 自分が同じ状況に直面した時に耐えられそうか?
もちろん、転職クチコミサイトを見ただけでは、こうした疑問を全て解消することはできないかもしれません。生じた疑問点を面接時に質問して事実を確認する事も大切です(内容によっては質問時の言い回しなどは多少工夫が必要です)。
本記事は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました!
以下はその他参考記事へのリンクです。